#1 ビジネスを通じて出会うすべての方との共感を大切にしたい

貸会議室業というものを、単に机と椅子が並んだ部屋をレンタルするだけのビジネスととらえることもできるかもしれません。しかし会議室コンシェルジュは借りる人、貸し出す人、そしてその場所で展開されるビジネスにも目を向けてきました。さらに便利で、多くの方に喜ばれ、人の役に立てる貸会議室を模索してきた﨑山社長に、どんな思いでこのビジネスを続けてきたのか、どんな将来像を描いているのかお聞きしました。

「ビジネスを通じて出会うすべての方との共感を大切にしたい」

会議室ビジネスを10年なさってきた中で大切にしてきたことはなんですか

私にとって、ビジネスをするうえで一つの大きなテーマは「共感」です。会議室ビジネスには、利用してくださるお客様があり、会議室を運営するオーナー様があり、その中でお世話になるお取引先、関連企業の方々がいます。そして弊社の社員、スタッフもいます。このすべての方に、それぞれの思いがありストーリーがあると私は考えています。
弊社の貸会議ビジネスは単なる商売ではなく、互いのストーリーに共感しあえるものでありたいと私は願っているのです。当然、実際に利益が上がることは大事ですが、それ以上の何かが生まれる関係を私は理想としています。そのためにも私たちのストーリー、私たちの思いを発信していきたと思っています。

ポータルサイトを運営していると常に多くのお見積りをいただきます。お客様はいくつかの会社に対してお見積りを依頼するケースも多いでしょう。その中でこれまで多くのお客様に選んでいただけたのは、その方の条件に合ったものを提供することはもちろんですが、さらに細かいニーズまで汲み取りたい、もっとお客様に寄り添いたいという私たちの思いに共感していただけたからではないかと思っています。

共感しあえる関係を築くために必要なことはなんだと思いますか

当たり前のことですが、まず信頼を得られる努力を最大限することです。信頼があってこそ共感も生まれるのだと思うのです。

会議室ビジネスを手掛けて半年ほど経ったころ、とある地方の会社から東京で会議室を使いたいとご連絡をいただきました。私たちはそのお客様のニーズをお聞きすると同時に、今後の活動について、会社の将来像なども伺いました。そして、東京で会議室を利用するときには、内覧や設営、清掃の手伝いをしたり、さらには当日の受付、文書や飲み物の配布など、会議室業者として普通はやらないことにも協力してお付き合いを深めていったのです。次第に大きな会場が必要となったその会社とのお付き合いのおかげで、私たちも大きな会場とのつながりが生まれました。さらにそこで経験を積んだ結果、大きな会場を利用したいお客様から様々な相談が寄せられるようになりました。

お客様目線で丁寧なお付き合いを心がけた結果こうして信頼していただき、ビジネスの発展につながった、私にとっても素晴らしい経験のひとつです。

「信頼から生まれる共感 それを醸成するのは人」

そうした経験から学んだことはなんですか

それでわかったことは、お客様がウェブ上の膨大な情報の中から求めるものを探すのはとても大変だということ。ポタールサイトには様々な情報が掲載されていますが、それでも検索しきれないこともあります。それだけ、お客様のニーズは様々なのです。「こうだったら更に良いな」という細かい部分も汲み取ったご案内ができるのはやはりコールセンターを持ち、経験を積んだオペレーターが直接お話しをうかがっているからなのです。

会議室というのは多種多様で、内装が豪華ですべておいて行き届いた比較的高額な物件もあれば、少々良くない点はありながらもリーズナブルで使いやすい物件もあります。私たちはお客様の求めるものをよくお聞きし、お客様の立場で考えるよう心掛けています。時にはサイトだけではわかりにくいネガティブな情報(会場は大きいがトイレの数が少ない、会場周辺に飲食店がないなど)もお伝えしつつ納得してご利用いただける会議室を一緒にお探ししています。

つまり「こちらが売りたい会場をおすすめするのではなく、お客様の求める会場を紹介する」ということが信頼関係を深めるのです。

「手をかけて 人を育て 会場を育てる」

インターネットを利用したビジネスでは、できるだけ人の手をかけずはやく収益を上げる方法もあると思いますが、人にこだわるのはなぜですか

立ち上げ当初は、他社のように会場を掲載しウェブ上で予約する、シンプルなサイトを作るという案もありましたが、それでは規模の大きい会社、サイトにかける費用が多いところには敵いません。少しずつ大きくしていったとしても、いわゆる大企業が参入してくれば顧客はそちらに流れていってしまうでしょう。そこで私たちは、コールセンターや設営、清掃スタッフを自社でまかなう独自の路線を進むことにしました。

その判断は正解だったと私は思っています。
自社のコールセンターでスタッフを育てているからこそ、お客様対応のクオリティには自信があります。ウェブ上で、クリックひとつで使うか使わないかのサイトではお客様との関係は深まりません。実際にお話しを伺って、お会いして、お手伝いをして、人と人との関係は生まれてきます。
また、インターネットを利用しない世代の方々に気軽にご予約していただけるのもコールセンターの強みです。会議室はいまや仕事だけではなく、年配の方々の集まりや習い事など、いろいろな用途でご利用いただいているからです。

また、会議室を運営していくためには清掃、設営といった現場の仕事が常に必要になってきます。そこにも自社のスタッフがいることで、仕事のクオリティに対するお客様の信頼、安心につながりますし、オーナー様それぞれの事情と予算に合わせた対応ができるのです

お客様と自社のスタッフのつながりを大事にしているのですね

それこそが会議室コンシェルジュの強みだと考えています。
そしてそれと同時にオーナー様とのつながりから生まれるものもあります。

私たちは当初から、あまり知られていない良い会場の発掘にも力をいれてきました。会議室を探すお客様は検索サイトで上位にのぼるいくつかの情報の中だけで探すケースが多いのではないでしょうか。しかし会議室のプロである私たちから見ると、検索上位にある会場が必ずしも良い会場とは言い切れません。検索サイトを何ページも探し続けなければ出会えない、けれども大変良い会場に私たちは着目しました。その多くは、積極的な宣伝活動をしていなかったり、会場の良さを伝える方法がわからないなど、プロの目から見てもったいない会場だったのです。そこで、私たちはそのような会場のオーナー様にアプローチしてその魅力を伝えるお手伝いをしてきました。

会議室コンシェルジュが手掛けた会場にはどんなものがありますか

例えば現在、弊社の直営会議室であるナチュラック赤坂です。もともとは検索上位にあがってくる会場ではありませんでした。立地も良く、施設にも何も問題がないにもかかわらずお客様に注目されることはあまりなかったのです。そこで私たちのポータルサイトに掲載させていただき、その良さを広く発信した結果、売り上げは10倍にもおよび現在まで7年ほどそれを維持しつづけています。はじめは休日や時間外など、オーナー様の会社に人手がない時間帯だけ設営を請け負っていましたが、売り上げが飛躍的に伸びて忙しくなったため今では私たちにすべてお任せいただいています。

また都内の別の会議室も、それまであまり目立たない会場でしたが私たちは確実に需要があると考え、オーナー様にお会いして弊社に任せていただくことにしました。実際その会場も一日に複数のご予約をいただくほどの人気となりました。現場の仕事も私たちに任せていただいているので、社員の方々も会議室業に忙殺されることはなく安定した収入となっています。

それほどまでに予約が増えるのは驚きですね

このような積極的に宣伝活動を行っていない会場というのは、もともと持っているビルの空いている部屋や、自社の会議室の空いている時間に貸会議室業をしているケースが多いため、大きな利益はなくとも安定した収入を求めています。つまり、市場価格よりも低めの価格設定ができるということです。お客様の期待を上回る安くて良い会議室は当然人気です。オーナー様にとっては安定した収益になり、それで家賃がまかなえれば充分なビジネスになります。

お客様にもオーナー様にも良いビジネスモデルですね

そしてもちろん私たちにとっても素らし晴い点があります。
こうして検索サイトではなかなかトップに上がってこないものの、立地や条件の良い物件を積極的に探し、その魅力を広く伝えるお手伝いをすることによって、オーナー様からの信頼を得ることができたのです。

こうして信頼関係が築けたことで、今度はオーナー様の方からいろいろなご相談をしていただけるようになりました。どんな会場が求められているか、どんなサービスが喜ばれるか、そういった話し合いを重ねていくとオーナー様もより魅力的な会場作りを目指してくださり、私たちのサイトの掲載会場もより良いものへと磨かれていくのです。

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